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詩のようなものを書いています。
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2018.05.22 Tuesday 
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トレード コース1・『転換』2



 山手線、上野行きの電車を待つホームでは、宵の口だけれど人が多い。座れるかな、と思いながら羽織った薄手のジャケットのポケットに手を入れた。今月のバイト代が入っている。
――これで、なんか果物でも買ってってやるか。おふくろは何が好きだったんだっけ……いや、つうかそのまえに食える状態なのかな…。
 そこまで考えて、やめた。飯も食えなくなるくらい悪くなってたら、どうすんだよ。

 一瞬でも、縁起の悪いことを考えた自分に、腹が立つ。
 変な考えを追い払おうと、頭を振りかけたとき、丁度ホームに電車が滑りこんできた。吹きつけてくる生ぬるい突風が、思考を散らしてゆく。
――そうだ、おふくろが好きなのは、たしか八朔だった。
 思い出して、やっぱり買っていこうと決めた。アパートの近くのスーパーは、確か十一時までやってたはずだ。しゅーと目の前でドアが開く。人はあまり乗っていない。手近な席に腰を落ち着けて、ついてるな、なんて思った。



 こととん、こととん、こととん………。
 規則的なリズムに、眠気を誘われる。今日は、大学のレポート提出の最終日で、そういえば昨日は徹夜だった。そんなことを思い出してしまうと、さらに眠くなって、おれは椅子に沈み込んだ。
 それからは夢うつつに、起きたり、寝たりをくり返していた気がする。


 突然がたん、と大きく体が揺れて、あ、と目を覚ました。
「な、なんだよ……」
 いやに大きな揺れだった。
「地震か?」
 まだ夢の中にいるような感じだ。重い頭を振って、顔を上げる。

 そこは、見も知らない部屋だった。
「え…?」
 おれは、いつのまにかベッドに寝ている。ふかふかで、いいにおいがした。明らかにおれのベッドじゃない。
「どこだ、ここ」
 状況がさっぱりわからなくて、呆然とする。
 呆けたまま、あたりを見回してみると、いやに可愛い部屋だということだけが理解できた。くまだのうさぎだの、可愛らしいヌイグルミたちがひしめきあっている。色調も全体的にピンク色で、家具は備え付けのクローゼットと、白いローテーブル、それから今おれが寝ているベッド――…。
 ぼんやりと、さっきまで自分にかぶせられていただろう布団を見る。握り締めると、ふんわりとやわらかい。薄いピンクと黄色の小さな花が撒き散らされた模様が、くたりと歪んだ。

(………夢?)

 混乱したまま、ベッドの脇の大きな窓に近寄る。ベッドに座り込んだまま、これもピンク色のカーテンを少し開けてみた。
 朝の、まぶしくてどこか涼しい光が、目に刺さる。
 外の景色は、やはり見たこともない景色だった。だけど、突拍子もない景色、というわけでもない。いたって普通の住宅街だ。ジョギングをする人、花壇に水を撒く人、どれも普通すぎる、どこにでもある風景だ。全然、異常じゃない。

 ということは、異常なのは………。
「………おれ?」





……トレード コース1・『異邦』3へつづく……


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